はじめに

 2005年6月29日、新会社法が成立しました。

 我々行政書士は司法書士さんとともに法人設立では法人設立予定者の、特に手続面でのサポートをしている関係から、新会社法の成立には大きな関心を持って見守っていました。

 法成立後、多くの本が出版され、行政書士会でも研修が行われるなど研究を重ねてきましたが、現在法人設立を予定されている方がどう判断すべきかを分かりやすく説明するものはありませんでした。

 本文でも言っておりますが、2006年5月頃には施行されるだろうということで施行時期も不明確な今、逆にこの小冊子の存在価値はわずか半年あまりしかないことを承知でここに発表いたします。

 今作るべきか、待って作るべきか、決定的な要素がない以上、両者を見比べて決断した結果がよりよいものになるように、そのお手伝いをこの小冊子でできたなら、望外の喜びです。

 

 

 

 

2005年11月15日

行政書士 渥美尚人

 


1. 会社法って?

 2005年6月、会社法が成立しました。施行時期は施行日政令が出ていないので、未だに不明ですが、2006(平成18)年5月頃になるだろうと言われています。

2. 新会社法のポイント

 新会社法の成立の背景には、「会社法制の現代化」ということがあります。

 その他、後で詳しく説明します最低資本金制度の廃止や類似商号の規制の大幅な簡素化のほかに次のような現代化のポイントがあげられます。

       有限会社の廃止

       合同会社の導入(日本版LLC)等他3項目<略>

 


3. 資本金制限がなくなった!

 2003(平成15)年2月施行された新事業創出促進法は法人設立に大きな衝撃を与えました。

 なぜならそれまで、有限会社を作るなら300万円の、株式会社を作るなら1000万円の資本金が必要だったものが、この新事業創出促進法の施行で理論上「1円会社」(以下「1円会社」といいます)の設立が可能になったからです。

<中略>

 実は、新事業創出促進法では、設立当初は1円会社でも構わないのですが、5年経過するまでに資本金を資源金額以上にすることが求められています。

 現在でも最低資本金制限のない合資会社・合名会社に5年後するつもりならわざわざ1円会社にする必要がないので、有限会社・株式会社で説明すると、5年間で300万円・1000万円の資本金を用意する必要があります。

<略>

4. 新旧の会社の形態

 

 さて、ここで新旧会社法を形態という形で俯瞰してみましょう。

 ここでは、あぁこんなもんかだけで結構です。

矢印の上に並ぶ4つの形態が現在で、下に並ぶ4つの形態が新会社法の形態です。厳密にいうと「現在」は上に並べなければいけないLLPも新しい形態ということで、下に配置しています。

 

<略>

5. 有限会社がなくなる!

 これまで法人を設立する場合、まずは有限会社で設立して、資本を増強できるようになって株式会社へ組織変更する、ということが多くありました。

 最低資本金が株式会社の1000万円に対し、有限会社では300万円で済むということからまずは有限会社で、ということでしょう。

 有限会社には株式会社とくらべて下に上げたようないくつかのメリットがあります。

       取締役は一人以上

       取締役の任期がない 他5項目

 

 比較のため、現行法の株式会社についてもあげておきます。

       取締役は三人以上

       取締役の任期は2年 他5項目

6. 新会社法下での一般的な会社設立とは?

 新会社法下では、現行法の有限会社に近い「株式譲渡制限会社」での法人設立が一般的になると予想されます。

 

前ページの例にならい、株式譲渡制限会社のポイントについてあげておきます。

       取締役は一人以上

       取締役任期は最長10年(定款に記載すれば可能)3項目

 

 比較してわかるように、新会社法下での株式譲渡制限会社は、現行法の有限会社と株式会社の折衷案のような会社となります。

 現在の有限会社に比べてちょっとハードルが高く(ゴシック体の項目)、現在の株式会社に比べてちょっとハードルが低くなっている(明朝体の項目)、それが新会社法下における株式会社(現行法の有限会社に近い株式譲渡制限会社)といっていいでしょう。

 

7. 新法による株式会社のデメリット

 さきほどこのような表現をしました。

「現在の有限会社に比べてちょっとハードルが高く」

 この点が新法による株式会社のデメリットとなります。

      最長10年とはいえ、取締役の任期が定められている

<中略>

      決算公告の義務がある

 <中略>

 

     株主総会のための招集通知の作成、通知ルール

 <中略>

 

8. 株券不発行

 新会社法下では、株式譲渡制限会社とはいえ、株式会社が一般的になるとみられています。

 つまり、有限会社では縁のなかった「株券」というものがクローズアップしてきます。

 <略>

 

9. 合同会社

 専門家の間では新会社法が施行されても、合同会社で設立するのは少ないのではないかと言われている、新しい会社類型の合同会社について、ここでは説明します。

 <中略>

 

 アメリカではこの合同会社形式が爆発的に増えたため、日本でもその導入が期待され、新会社法に盛り込むこととなりました。

<中略>

 

10. 会社を今作る?来年まで待つ?

 いよいよ結論です。

 これまでにも説明してきました現在の有限会社と新会社法における株式譲渡制限の株式会社とを分かりやすく比較できるようにまとめてみました。

 

 

有限会社

株式譲渡制限会社

資本金

300万円以上

制限なし

取締役

一人以上

一人以上

他5項目

 

 現在、法人設立をお考えの方の前には、次の4つの選択肢があります。

@       有限会社を設立する

A       1円会社を設立する

B       株式会社を設立する

C       新会社法の株式会社を設立する

 大まかに言うと、株式会社を作るのであれば、新会社法では要件が緩和されますので、新会社法の施行を待って作った方がよいといえます。

 有限会社を作るのであれば、新会社法ではなくなりますし、それに代わるものでは要件が厳しくなりますので、今のうちに作った方がよいといえます。

 

 もう少し詳しく関連する事情を含めて説明しましょう。

 関連する事情としては次の二つの事情をあげました。

@       300万円が用意できるかどうか

A       今すぐ営業を開始したいかどうか

300万円

即時開業

対応

有限会社でつくるべき

上場を目指す場合でも組織替えで対応可

他3項目

 法人維持のためのランニングコストを抑えることを考えたら、有限会社は有力な選択肢です。

<略>