3 医療法人の財産
医療法人設立の目的は、医療機関の運営に安定性や永続性を付与することにあります。
そのため、医療法人設立にあたっては、医療機関を開設し運営していくのに必要な財産を備えておかなければなりません。
設立時及び設立後の財産については、以下のお願いをしています。
(1) 開設する医療機関の土地、建物
医療法人が開設する医療機関の土地、建物は、当然ながら法人の自己所有であることが望ましいとされています。
土地や建物を賃借する場合は、賃貸借契約書(締結前であれば賃貸承認書又は契約書案など)において、契約期間の更新が円滑に行われる内容であること又は長期間(概ね10年以上)の契約であることを明記してください。
土地、建物を賃借する場合の注意事項
・賃貸人が医療法人の役員及び関連する企業・団体などの場合、賃借料の算定根拠を示すこと。(様式は任意。過大な賃借料は剰余金の配当に該当する恐れがあるため。)
・医療機関と法人の役員の住居などが同一建物(又は併設)の場合、法人が役員の住居部分まで含んで賃借し、賃借料を支出することは、やはり剰余金の配当に該当する恐れがあると考えられます。法人が賃借するのは、開設する医療機関の土地、建物だけとし、その内容を賃貸借契約書に明記してください。 |
土地、建物を法人の自己所有とする埠合の注意事項
・設立時の出資又は売買による際は、不動産鑑定評価書の額をもって売買価格(又は出資額)とすること。設立後に法人が不動産を買い取る場合も、同様とする。
・法人が不動産を取得する際、法人以外の第三者(法人の役員を含む)が債務者となって根抵当、抵当が設定(登記)されている場合は、必ずその債権債務を整理してから法人が不動産を買い取ること。(適正な価格を明らかに上回る価格で法人が買い取れば、剰余金の配当に該当する恐れがあるため。)
・法人が、理事長から不動産を買い取る売買契約にあっては、理事長は法人の代表権を有しないので、特別代理人の選任が必要である。 |
(2) 自己資本比率
病院又は介護老人保健施設を開設する医療法人は、自己資本比率が常時20%以上であることが求められます。
診療所のみを開設する医療法人には、この自己資本比率(常時20%以上)の要件は適用されませんが、安定した法人運営のため適切な自己資本比率を維持することは必要です。
自己資本比率
資産総額に占める正味資産(資産総額から負債の総額を差し引いた額)の比率
自己資本比率=(資産総額一負債総額)÷資産総額×100 |
(3) 出資(寄付)財産の評価
設立時の財産目録を作成する場合は、以下の基準により評価額を算定してください。
評価基準
| 1 |
不動産、借地権 |
不動産鑑定評価書の額 |
| 2 |
預 貯 金 |
出資額を担保する金融機関発行の残高証明書 |
| 3 |
医業未収金 |
直近の健康保険収入実績などからの推計額 |
| 4 |
医薬品、診療材料 |
払出帳簿の額 |
| 5 |
医療用器械備品 |
基準日前日の減価償却後の台帳価格 |
| 6 |
自動車、什器備品 |
基準日前日の減価償却後の台帳価格 |
| 7 |
電話加入権 |
取引時価 |
| 8 |
保証金など |
契約書の記載額 |
| 9 |
内装、付帯設備 |
基準日前日の減価償却後の台帳価格 |
(4) 負 債
個人開設時代に、医療機関の土地、建物、医療器械などを取得するために生じた負債(金融機関からの借入金など)については、当該財産を出資する場合に限り、その負債も医療法人に引き継ぐことができます。ただし、出資財産の評価額を負債額が上回る場合には、評価額の範囲内においてのみ負債を引き継ぐことができます。
なお、負債を法人へ引き継ぐ際には、債権者の「債務引継承諾書」が必要となります。
法人へ引き継ぐことが出来ない負債
流動性の高い運転資金、医薬品、消耗品などの取得に要した章用にかかる負債は、法人へ引き継ぐことができません。また、借入の契約に出資財産の取得に要した負債と、出資財産の取得以外の目的で生じた負債が同時に含まれている場合は、出資財産の取得に要した費用に対する残債務額を確定した後、該当する部分だけを引き継ぐことができます。 |
(5) 運転資金
運転資金とは、現金に加え、預貯金や医業未収金といった換金が容易なものを言います。原則として、法人が医療機関を開設してから2ケ月の間、運営を適正に行うことができるだけの運転資金を、設立時の「財産目録」又は「収支計画」で明らかにしていただく必要があります。
4 医療法人の名称
下記の注意を踏まえた上で、「医療法人社団(又は財団)○○○」などの名称を決めてください。病院又は診療所を一つだけ開設する法人の場合は、「医療法人社団○○医院」など医療機関の名称を法人名にしても差し支えありません。
なお、同じ名称の法人が既に同一市町村内に存在しないか、申請前に県健康福祉部医療室で確認をします。
付名時の注意
・誇大な名称を使用しない。
・国名、県名、市町村名を使用しない。
・ローマ字(アルファベット)を名称に使用しない。
・医療機関の名称を法人名にした場合、後に開設する医療機関を追加しようとするときに、法人の名称を変更(知事の定款変更認可が必要)する必要があります。
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